患者目線の医療とは?医師・スタッフとの会話が満足度を上げる

患者の気持ちに寄り添う医師が求められる

心や体の調子が悪いときこそ、患者は「少しでも安心したい」という気持ちを抱えています。
病院やクリニックを受診する患者の意見として「プロである医師にしっかり診察、治療してほしい」という思いがあるはずです。
そして、診てもらうからには、当然腕の良い医師が求められるでしょう。
しかし、どれほど腕の良い医師であっても、まったく説明がないまま治療が進められたらどう思うでしょうか?
また、説明があってもとても厳しい口調や冷たい口調だったらどうですか?

患者の気持ちに寄り添う医師が求められる

患者目線ではコミュニケーションに不満がある場合、
治療に対しても不安な気持ちが募るものです。
そして、いくら良い治療をしてくれたとしても、
治療の経過や結果が説明されていなければ、
患者側が、治療の成果を理解できない場合もあるでしょう。

外来患者・入院患者の満足度

厚生労働省が調査した「平成26年受療行動調査(概数)の概況」には、外来患者と入院患者による「項目別満足度」が掲載されています。
ここでは、医師との対話への満足度が調査されています。

外来患者・入院患者の満足度

「項目別にみた外来患者の満足度」では「医師との対話」に「満足」が55.8%、「ふつう」が31.4%、「不満」が6.7%、その他・無回答と続いています。
一方、「項目別にみた入院患者の満足度」では、「医師との対話」に「満足」が64.8%、「ふつう」が22.6%、「不満」が6.5%と続き、その他・無回答となっています。

「満足」と「ふつう」を合わせると、外来患者の満足度は87,2%、同じく入院患者の満足度は87.4%になり、「不満」という意見は少数派であることが分かります。
この結果からも、医師も患者とのコミュニケーションや対話を大事にしていることがわかります。

クリニックから自宅へ

クリニックから自宅へ

65歳以上の人口は、現在3,000万人を超え、国民の約4人に1人の割合にものぼります。
団塊世代の定年退職・大量退職などを受けて、ますます高齢化が進む日本では、この傾向は加速すると見られています。

そして、75歳以上の人口が増加していくことで、ますます医療の整備が必要になります。
「地域包括ケアシステム」の構築が進み、「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けること」を支援する取り組みが進められているからです。

このような取り組みが進むと、医療の現場が病院やクリニックなどの閉鎖的な空間だけではなく、地域や家庭といった多様な場に移っていくことになります。
つまり、他の患者や複数のスタッフなどの目が行き届かない場所で、患者と医療関係者のコミュニケーションが増えていくということです。
そうすると、これまで以上に医師や医療スタッフの患者に対するコミュニケーション力や対話力が問われるようになっていきます。

最近では、医療の現場に「方言」を導入する取り組みまで

最近では、医療の現場に「方言」を導入する取り組みまで

医療の現場では、患者と医師・医療スタッフだけではなく、患者の家族、また高齢者であれば介護士など、とても多くの人々との連携が求められます。
多くの人が関われば関わるほど、意思の疎通や状況把握が必要になるため、「相手に伝わる」コミュニケーションが重視されるようになると考えられます。

最近では、新しい取り組みとして、医療の現場に「方言」を導入する取り組みも始まっているそうです。
特に地方に長く住む住民やお年寄りにとっては、馴染みのある方言で対話することで、医療関係者に親しみや安心感を得られたり、
病気やケガという必要以上にストレスの多い状況下で、方言によってストレスが和んだりすることがあるのかもしれません。

医療の現場では、一般的には耳馴染みのない専門用語を使うことも多いと思います。
しかし、それだけでは伝わらない場面がますます増えていくのではないでしょうか。
まさに、医療現場でのコミュニケーション力が問われる時代になってきたといえるでしょう。